独特の香りで、鍋物やお浸し、天ぷらなどに大活躍の春菊。
最近では、サラダ用に作られたアクが少ない品種もあり、選ぶ楽しみも一段と増えています。
もちろん、栄養面でも文句なし!
免疫力を高めてくれるβカロチンや美容効果の高いビタミンCなどを豊富に含み、カルシウムや鉄といったミネラルもたっぷり。
独特の香りは、自律神経を整えるといった驚きの働きも。
「食べる風邪薬」とまで呼ばれ、忙しい私たち現代人が積極的に摂りたい野菜のひとつです。
比較的病害虫に強く、家庭菜園にもうってつけ。
採れたての春菊の香りは文句なしに格別です!
さあ、さっそく自分で育てた新鮮な春菊を毎日の食卓にプラスしてみませんか?
あなたの健康に一役買ってくれること、間違いなしですよ。
Contents
春菊の栽培方法!基本的な育て方は?
春菊はキク科の野菜。
そのまま育てると、キク科らしい愛らしい花を咲かせてくれます。
葉物野菜の中では病害虫にも比較的強く、家庭菜園初心者にもおすすめ。
基本的な栽培のポイントをしっかり守れば、とってもおいしい春菊を収穫できますよ。
さっそく栽培のポイントを押さえていきましょう。
春菊に必要な土づくりとは?
植物や野菜にも好みの土というものが存在します。
- アルカリ性
- 酸性
- 中性
大まかにいうと、この3つのタイプ。
なんだか理科の授業みたいですよね(^-^;
これまた理科で習うような知識ですが、日本に降る雨ってどんな性質のものだったか覚えていますか?
そう!
酸性雨。
これ、有名ですよね。
では春菊ってどんな性質が苦手なの?
春菊は酸性土壌を嫌います。
つまり、酸性雨が降る日本の土はあまり好みではないってことなんです。
なので、種まき前の土づくりで重要なのは中和をしておくこと。
土ってどうやれば
酸性→アルカリ性
アルカリ性→酸性
に変化させられるの?
その答えは簡単です。
理科の実験と同じ。
酸性の土にはアルカリ性のものを混ぜてしまえばいいんです。
アルカリ性のもので園芸によく使われるのが苦土石灰(くどせっかい)。
石灰(せっかい)をまき、土を中和しておきましょう。
また、春菊は肥料を好む性質です。
元肥(もとごえ)として、たい肥や油かす、米ぬかなどの有機質肥料をしっかり混ぜておきましょう。
さらに化成肥料も与えておくとおいしい春菊に近づきますよ。
土づくりが完成したらいよいよ種をまき始めます!
その時に注意することって何かあるんでしょうか?
春菊の種をまこう!
種まきの時期でおススメなのは、春と秋。
春菊はもともと冷涼な気候が大好き。
春蒔きでは、日照の長さと高温でトウ立ちしやすくなります。
トウ立ちとは、茎が伸び、花が咲くこと。
こうなると、葉や茎が硬くなり、食味が落ちてしまいます。
トウ立ちの心配もなく、長期に渡って収穫できるという点では、秋蒔きの方が作りやすいと言えます。
また、春菊の種は好光性(こうこうせい)の種子。
発芽する時には光が必要です。
種を蒔いたら、被せる土は厚くせず、薄くパラパラ被せる程度にします。
その後は、しっかり手で土をトントンと叩いておきましょう。
もともと発芽率があまり良くないので、多めに蒔いておくこともコツの一つですよ。
種をまいて放っておくだけでは元気に育ってくれません。
種まきの後、どんなお世話をしたか?
これでおいしい春菊ができるかどうか決まってきますよ~。
種まき後のお世話方法は?
先ほどもお伝えしたように、
春菊に被せる土が薄いので、水やりの勢いが強いと種が流れてしまうこともあります。
なので水のやり方に注意!
ポイントはこの2つ
- 種を乾燥させないこと
- 水の勢いは強くしない
種が発芽するまでは、乾燥させないよう、毎日ジョウロでやさしく水遣りをします。
ジョウロも「ハス口(はすくち)」という雨が降るように水が出てくるものを使いましょう。
こういう一般的に売られているものでOKですよ。
無事に芽が出てきたら間引き(まびき)という作業をします。
野菜を育てたことのある方にはおなじみのあの作業。
初めて野菜を育てる方は、もしかするとビックリしてしまうかもしれませんね。
春菊が発芽した後にする作業~間引き~
春菊は種まきしてから5日から1週間程度もすると発芽してきます。
本葉1~2枚になったら、株と株の間が2~3㎝程度になるように調節します。
これを間引き(まびき)といいます。
発芽したら全部を育てるわけではないんですよね~。
間引きをすることでより丈夫な春菊だけを残すことができます。
植物の世界も弱肉強食…。
ではどんな芽を残したらいいのか?
答えは簡単です。
見た目で丈夫そうな芽。
発芽してくるとなんとなくわかりますが、
見分けるポイントは二つ。
- 茎がヒョロヒョロしていないかどうか?
できるだけ太いものを残しましょう! - 葉っぱの状態はどうか?
つやがあって黄色くなっていないものを残しましょう!
その後、本葉3~4枚になったら、株間5~6㎝程度になるよう2回目の間引きをしましょう。
そうして間引きを繰り返して、最終的に株間が15㎝程度になるようにするのが目安です。
間引きした芽も、そのまま捨てちゃうのはもったいないので、
サラダにして食べたり、炒め物にしてみたりすることができますよ!
もし、あなたのとっておきの活用術があったらぜひ教えてください。
まだまだ成長途中でも春菊は栄養を欲しがります。
どんな時にどれくらいの量を与えると春菊が喜んでくれるんでしょうか?
春菊に与えるべき肥料について
2回目の間引きのあとに、追肥(ついひ)をします。
市販の化成肥料か、もしくは液肥でも構いません。
その後は、2週間に1回程度のペースで中耕(ちゅうこう)・追肥をします。
ただし液肥の場合は、水と一緒に早く浸透てしまうので1週間に1回追肥をしましょう。
ちょっと聞きなれない言葉が出てきましたね。
中耕(ちゅうこう)
実は、この中耕。
小型のクマデ等で、根を傷めないよう、株まわりの土の表面を軽くほぐすことを指します。
こうすることで、雑草を抜いたり、土のなかに空気を入れられます。
さらに、水はけや生育を良くしてくれるんですよ。
中耕はとても大切な作業のひとつ。
柔らかい土だと根の張り具合もよくなるので春菊がしっかりと根付いてくれますよ。
肥料のことはこれで一通り分かったけど…。
発芽した後も水やりのしかたに注意点はあるのでしょうか?
発芽後の水やりの注意点は?
春菊は、乾燥にはちょっと弱い面があります。
土が乾かないよう、こまめに水やりをしましょう。
詳しい水やりのタイミングなどは、後ほど説明しますね。
春菊には春蒔きと秋蒔きの方法があるとお伝えしましたね。
実は蒔き方によっておススメする品種が変わってくるんですよ。
春菊は品種によって収穫方法が違う!
春菊には、摘み取り(株立ち)種と、株張り種があります。
摘み取り種の場合は、本葉が10枚程度になったら、下葉3~4枚程度を残して主枝を切ります。
その後、脇芽が育ったら、下葉を2枚程度残して摘み取りながら、長期間収穫します。
いっぱい食べたい私は断然こっち派ww
株張り種は、草丈20㎝程度になったら、根を付けたまま株ごと収穫します。
ネギみたいにそのまま引き抜いてしまうんですよ。
見た目も豪快!!
特に、春蒔きの場合はトウ立ちしやすいのが特徴。
なので株張り種を蒔いて株ごと収穫します。
秋蒔きの場合は摘み取りがおススメですよ。
葉物野菜は、多少日当たりが悪くても育てることができるって本当なのでしょうか?
春菊の場合はもしかして例外だったりする?
春菊はどんな場所で育てればいい?
春菊は基本的には日なたを好む野菜。
でも、野菜の中には、日陰や半日陰のような場所でも育てることができる野菜もあります。
春菊もそんな野菜達の仲間で、半陰性植物(はんひかげせいしょくぶつ)と言われる植物に当てはまります。
半陰性植物とは、1日のうち3~4時間日が当たれば育つ植物のこと。
だから多少日が当たらない時間があっても問題ありません。
そもそも植物は光合成で養分をつくって成長するのはご存知の通りですよね。
そのため、日当たりがちょっと悪い場合、より多くの光を求めます。
そして葉は大きく、しかも柔らかく育つ傾向があるというわけです。
そういう育ち方をするのは春菊だけではありません。
レタスやほうれん草、小松菜などの葉物野菜も、半日陰のような場所の方がかえっておいしくなるのです。
自然の生命力のすごさですよね。
「日なたになる場所がないから育てられない」と思いがちな家庭菜園。
思い切って、春菊を半日陰で育ててみませんか?
それでは、水やりってどうすればいいのでしょうか?
春菊の水やりはどのくらいの頻度で?
春菊は水不足に弱い植物です。
水不足による生育不良には気を付けましょう。
栽培時期にもよりますが、畑では、土の表面が乾いているようなら、水を与えます。
プランター栽培の場合は、特に水分管理に気を付けてくださいね。
土が湿っていない場合は様子を見て水やりをしましょう。
ただ、水を多く与えすぎると根っこが腐ることもあります。
土の表面が乾いていたら水やり!
ということを忘れなければ大丈夫ですよ。
ちなみに、
株が蒸れて傷まないよう、水やりは、午前中か夕方がおすすめです。
あまり日が当たる午後の時間に水をあげると、水が土の中で温まってしまいます。
温まった場所に野菜があるとどうなります?
そう。
腐っちゃいますよね。
せっかく大事に育ててきたのに、そんな些細なことで春菊をダメにしないように
水やりの時間帯にも気を付けてくださいね。
発芽の後にも追肥で肥料をあげましたね。
その後成長してきたらもう肥料はあげなくていい?
それとも増やした方がいいのでしょうか?
春菊にはどんな肥料が適しているの?
葉物野菜は、肥料が多いと、かえって葉や茎が硬くなったり苦くなったりする事もあります。
生育状態にもよりますが、野菜によっては、元肥だけで十分育てることができるものもあります。
そんな中、春菊は肥料を好む性質の野菜。
摘み取り種の場合は、生育期間も長くなりますので肥料は必須です。
摘み取り種は秋蒔きの栽培が向いている品種でしたね。
土づくりの際、元肥はこんなものを与えておくといいですよ。
ゆっくり効果が現れる、たい肥や油かす、米ぬかなどの有機質肥料です。
それと同時に、効果の早い化成肥料も適量与えておきます。
追肥は、2回目の間引きの後、本葉3~4枚になってから。
肥料は化成肥料か液肥を与えます。
この辺りは先ほどおつたえしましたね。
その後は、2週間に1回程度、化成肥料を施します。
液肥の場合は、1週間に1回程度のペースで。
つまり、本葉が3~4枚になってからは
- 化成肥料の場合→2週間に1回
- 液体肥料の場合→1週間に1回
の追肥が必要になります。
春菊も無事に大きく育ってくれてやっと収穫!
でも、なんだか茎が硬い…。
ガッカリ…。
柔らかい春菊を収穫するなら、収穫時期に気を付けましょう。
春菊を収穫して茹でたのに茎が硬いまま!コレってどうして?
春菊は育ちすぎると、筋が出て硬くなります。
茎は細い方が、柔らかくておいしいですよね。
収穫は遅れないよう、早めに行いましょう。
また、意識して日なたより半日陰の場所を選んで栽培してみるのもポイントでしたね。
栽培場所も考え、チャレンジしてみては?
収穫時期も大切です。
時期によっても茎の柔らかさは違います。
11月から2月頃が春菊の旬。
この時期に収穫したものは、茎も葉も柔らかでおいしさは抜群!
この時期を狙って収穫できるよう栽培してみてはいかが?
春蒔きの場合は、トウ立ちする前の収穫がおススメ。
種蒔き後1カ月程度で、株ごと切り取って収穫します。
春菊の独特の香りは、たまらなく食欲をそそりますよね。
でも、その香り。
春菊の種類によって強さが違うんです。
【おすすめ記事はこちら】
春菊のあの香りを楽しむ方法!
春菊には、葉の幅や葉の切れ込みの深さによって、大きく分けて
- 大葉種
- 中葉種
- 小葉種
といった3つの種類があります。
大葉種は、主に九州や四国で栽培され、
中葉種は、主に関西や関東で栽培されています。
小葉種は、現在ほとんど栽培されていません。
春菊の独特の香りは、その種類によって強さが違うのです。
知っていましたか?
大葉種は、葉が大きく肉厚で柔らか。
葉の切れ込みは浅く、クセがなく香りもマイルド。
中葉種は、大葉種より葉の切れ込みが深く、香りも強い。
調理の幅も広く、スーパーなどでよく見かける種類ですね。
小葉種は、より葉の切れ込みが深く、香りも一番強い種類です。
収穫量が少ないため、一般にはあまり流通していません。
春菊の独特な香りを楽しみたい人は、中葉種を選ぶといいでしょう。
その逆で、香りはマイルドな方がいいという人は、大葉種を選んでみては?
春菊は病害虫にも強く、家庭菜園初心者にピッタリ?
ホントに病害虫は絶対に寄せ付けないの?
春菊はどんな病気や害虫に気をつければ良い?
小松菜、青梗菜、キャベツといったアブラナ科の野菜は、病害虫が付きやすい野菜。
病害虫予防のため、ネットを掛ける、薬剤を使用するなどの必要性も。
それに比べ、キク科である春菊は比較的病害虫が付きにくい野菜なのです。
それでも、条件によってはかかってしまう病気もあります。
それは、「さび病」や「べと病」です。
さび病は、オレンジ色の楕円形で、やや膨らみのある小さな斑点ができる病気。
また、べと病は、葉に黄白色のぼやけた病斑が発生する病気です。
べと病の場合、葉の病斑が大きくなると、葉の色も淡い黄色へと変化し、やがて枯れてしまうこともあります。
そうならないために気を付けたいポイントを押さえておきましょう。
- 高温期や多湿になる梅雨時に栽培しない。
- 水はけがよく、風通しの良い場所で育てる。
春と秋に種蒔きできる春菊。
でも、病気にかかるリスクを考えれば秋蒔きの方が安心です。
こうしたポイントに気を付ければ、春菊は、完全無農薬でも栽培できる野菜ですよ!
いくつか株を残し、きれいな春菊の花を観賞してみては?
ついでに種を採り、来年も春菊を育てることだってできますよ。
その方法とは?
次の年にタネを買わなくても春菊を育てる方法はあるの?
春菊を来年も育てたい場合は、花を咲かせ種を採れば大丈夫。
つまりトウ立ちさせるっていうことです。
花を咲かせるとなると、背丈はグンと高くなりますが、観賞価値のある、とてもかわいらしい花を見る事ができます。
花が枯れ、カラカラになって黒くなってきたらOK。
黒くなった花がらを切り取り、中にたくさん詰まっている種を取り出します。
春菊は種を採った後、2~3カ月休眠状態になり、蒔いても発芽しません。
その間、日陰で乾燥させておきます。
種の保存には、「低温」と「乾燥」が大切。
封筒やお茶パックなどに入れ、涼しい場所に置いておけば、適度に乾燥してくれます。
その後は、できれば密閉できる容器に保存します。
たとえば、茶筒などもいいですね。
その後は、冷暗所に保存しますが、スペースがあれば、冷蔵庫の野菜室などが最適です。
この方法で2年目の春菊栽培は本当の自家製春菊を育てるのも楽しそうですね。
それでは、春菊の育て方について、ポイントを振り返ってみましょう。
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おいしい春菊の育て方~まとめ~
春菊は春と秋に種蒔きができます。
でも、元来冷涼な気候を好む野菜。
高温多湿になる時期は病害虫が発生しやすくなるので、トウ立ちの心配もない秋蒔きがおすすめ。
土づくりは、元肥として有機質肥料をたっぷりとすき込んで。
併せて化成肥料も与えておきましょう。
発芽率が良くないので、多めに種蒔きするのがコツです。
種は好光性なので、被せる土は薄くパラパラ被せる程度に。
発芽するまでは、絶対に乾燥しないよう、やさしくジョウロで水を与えましょう。
肥料を好む春菊。
追肥は、本葉3~4枚になって2回目の間引きを行った後に化成肥料を追肥します。
その後は、2週間に1回程度の追肥。
液肥の場合は、1週間に1回程度のペースで。
収穫は、摘み取り種と株張り種では方法が違います。
秋蒔きでは、適宜摘み取りながら長期間収穫できる摘み取り種がおすすめ。
春蒔きはトウ立ちしやすいので、株ごと引き抜く株張り種がいいでしょう。
日当たりを好みますが、日照が1日3~4時間程度の半日陰のような場所でも栽培OK.。
ポイントさえ押さえれば、完全無農薬でも栽培できてしまう春菊。
秋蒔きでは、春菊の旬である11月~2月頃の柔らかくておいしい茎や葉をたっぷり堪能できますよ。
くれぐれも、成長しすぎて茎が硬くなってしまったなんてことにならないよう、収穫は早めを心がけましょう。
特に中葉種は香りが強い種類。
香りを存分に味わいたい人は、品種選びから気を付けて!
病害虫に強い春菊。
家庭菜園の初心者にもピッタリ。
十分に育てることは可能です。
いつもの食卓に自分で作った新鮮な春菊をプラスして、健康的な毎日を送りましょう!
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