「秋の七草」をご存じでしょうか。
お粥にして食べる春の七草を連想しますよね。
秋の七草って、どんな植物なのでしょうか。
始まった由来は?
いつ食べるのか。そもそもお粥にするのか。
たくさん疑問が出てきますよね。
今回は、実りの秋に伝わる「秋の七草」について。
1つずつ詳しくお伝えしていきます。
楽しむ際に忘れてしまわないために、覚え方まで紹介します。
知らなかった方はもちろん。
すでに知っていた方も、改めてチェックしてみてくださいね。
日本に伝わる素晴らしい文化を、再確認できるはずです。
Contents
秋の七草とは?~万葉集から伝わる七草~
七草といえば、やはり「春の七草」でしょうか。
家族の健康を祈り集めた春の七草。
実は秋にも「秋の七草」があるのをご存じですか?
絵画や詩の世界ではおなじみですが、知らない方も多いと思います。
秋の七草とは一体何なのでしょうか。
一般的に伝えられている「秋の七草」が登場したのは・・・
歌人、山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ2首の歌の中。
「秋の野に 咲きたる花を指(および)折り
かき数ふれば 七種(ななくさ)の花
菜の花 尾花 葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴 朝がほの花 」
この歌を詠んで以来、日本の「秋の七草」として親しまれてきました。
始まりは歌だなんて、とても素敵ですね。
山上憶良が生きたのは、660年から733年頃と言われています。
紀元前1000年にも満たない頃から、現代まで伝わっている。
変わりゆく街の風景と、変わらない植物の繁栄がなんだか感慨深いですね。
そんな「秋の七草」に興味がわいてきませんか?
では、具体的にはどんな植物を上げているのか。
山上憶良は何を見て歌を詠んだのか。
詳しく次で見ていきましょう。
秋の七草ってなにがあるの?
では、「秋の七草」にはどんな植物なのでしょうか。
歌の中に登場する七草はこちらです。
- 萩 (ハギ)
- 桔梗 (キキョウ)
- 葛 (クズ)
- 藤袴 (フジバカマ)
- 女郎花 (オミナエシ)
- 尾花 (オバナ/ススキのこと)
- 撫子 (ナデシコ)
ちょっと名前だけきいてもパッとわかりませんね。
1つずつみていきましょう。
秋の七草を詳しく解説!
萩 (ハギ)
万葉集の中でもよく使われたヨモギの仲間の植物。
赤紫の花を咲かせます。
寒くなると葉を落として冬越し、春に再び新芽を出します。
元服の儀式(8月15日)には、枝に団子を刺して頂く風習がありました。
桔梗 (キキョウ)
五角形の青紫色の花を咲かせます。
お盆にお供えする花として飾られてきました。
自生する桔梗は少なくなりましたが、花屋で手に入れることができます。
葛 (クズ)
和菓子や日本料理に使われる「くず粉」の原材料。
漢方薬としても使われます。
繊維を衣服に活用したり、生活に欠かせない植物でした。
藤袴 (フジバカマ)
中国産の多年草で、紫がかった白い花を咲かせます。
乾燥すると、桜葉のような香りで、芳香剤に用いられます。
川べりに自生していましたが、現在ではほとんど見られません。
絶滅危惧植物に指定されています。
女郎花 (オミナエシ)
秋になると高く伸び、菜の花のような花を咲かせます。
多年生の植物で、東アジアに自生しています。
「女」が付く名前からか、古くから歌人に愛好されてきました。
多くの和歌に登場する秋を代表する植物です。
尾花 (オバナ/ススキのこと)
ススキのことを指します。
日本全国で自生している植物で、秋の代名詞。
その強さから豊かな実り、無病息災の象徴とされています。
撫子 (ナデシコ)
可憐なピンクの花を咲かせます。
「美しさ、清楚さ」など女性の例えとしても使われていますね。
江戸時代には、災いの続く年の正月に飾られるという風習もありました。
常夏という別名もあります。
以上が「秋の七草」でした。
よく見る植物から、あまり馴染みのないものもありましたね。
どれもきれいな花や、美しい風貌です。
時期になると花屋で手に入ることもあります。
現在でも自生しているものもあるので、探しに行くのも楽しそうですね。
ところで、「春の七草」は1月7日に食べます。
「秋の七草」はいつたべるのでしょう?
食べ方はお粥でいいの?
「秋の七草」の楽しみ方を次でご紹介しましょう。
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秋の七草っていつ食べるの?
先ほど「秋の七草」をひとつずつご紹介しました。
知っている植物も知らない植物も、食べたことありますか?
ほとんどの方は無いと思います。
どうやって食べるのか気になりますね。
実は、食べないのです!
「え!?食べないの?」
そうです。私もそう思いました。
「秋の七草」は見て楽しむものだったのです。
いわゆる鑑賞用ということです。
美しい花が多いわけです。
ですので、「春の七草」のように1月7日!
という日程はきまっていません。
だいたい9月中旬~11月頃に楽しむ。
秋の豊かな風情を楽しむ文化なのです。
時期になると「秋の七草」をテーマにした公園などもあります。
ぜひお近くで催しがある方は、足を運んで見てくださいね。
それにしても、鑑賞する文化なんて・・・
心に余裕が無いとできない、人間だけの楽しみ方。
まさにロマンチックで芸術的!
そう思いませんか?
その直感どおり、芸術の世界でも用いられてきました。
絵画の世界
秋といえば芸術の秋!
「秋の七草」を表現した絵画をご紹介します。
- 歌川貞虎:「風俗 秋七草」
- 歌川房種:「秋七草月の姿見」
- 歌川国安:「角田川秋の七草」
- 三代歌川豊国:「四季花くらべの内 秋」
などが、有名な絵画です。
どれも、秋を感じさせる落ち着いた色合い。
その中にも鮮やかに咲く七草が美しく描かれています。
いつ見てもふわっと涼しい秋の風を感じるような・・・
そんな素晴らしい絵画です。
私は専門家では無いので、素人の感想ですが・・・。
実際に秋の七草を鑑賞するのもいいでしょう。
また「芸術の秋」として、七草を絵画を鑑賞する。
というのも、また粋な楽しみ方ではないでしょうか。
では、せっかく楽しみに行ったのに「秋の七草」なんだっけ??
と、忘れてしまわないために・・・
七草の覚え方をお伝えしましょう。
これで忘れず、最大限に楽しめますよ!
秋の七草の覚え方~歌で楽しく覚えよう~
何かを覚えるときは歌が一番!
小さいころの記憶はありませんが、歌は忘れないですよね。
日本人ですから、まずは5・7・5・7・7のリズムで始めましょう!
♪ハギ・キキョウ / クズ・フジバカマ / オミナエシ / オバナ・ナデシコ / 秋の七草♪
何度か口ずさんでみると、覚えてきませんか?
楽しく歌いながら、覚えてみましょう!
語呂あわせで覚える!
次は頭文字を語呂合わせで覚えてみましょう!
覚えるための語呂合わせにはこんなものがあります。
ハスキーなおふくろ
ハ・・・萩(ハギ)
ス・・・尾花(ススキ)
キ・・・桔梗(キキョウ)
|
な・・・撫子(ナデシコ)
お・・・女郎花(オミナエシ)
ふ・・・藤袴(フジバカマ)
く・・・葛(クズ)
ろ
といった感じです。
頭文字を覚えておくと忘れませんね。
他にも・・・
お好きな服は?
(オ ミナエシ/ス スキ/キ キョウ/ナ デシコ/フ ジバカマ/ク ズ/ハ ギ)
フナオ君は好き?
(フ ジバカマ/ナデシコ/オミナエシ/ク ズ/ハ ギ/ス スキ/キキョウ)
といった例もありますよ。
ご自身でなにか作ってみても良いですね。
これで、忘れずに最大限に楽しめるはずです。
今まで「秋の七草」の習慣が無かった方も安心です。
楽しんで覚えてみてくださいね。
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秋の七草とは~一目でわかるおさらい~
いかがでしたか?
「秋の七草」とは、芸術的な文化だったのですね。
七草を食べて健康を祈る「春の七草」
鑑賞して風情を楽しむ「秋の七草」
すでにご存じだった方も。
馴染みのなかった方も。
改めて、よくお分かりいただけたと思います。
山や野原に収穫に行き、楽しむ。
という面では、春も秋も同じで「季節を楽しんだ文化」なのです。
今のようにたくさんのイベントや娯楽のない昔ですが・・・
現代人には気が付きにくい美しさや尊さを見る豊かな目。
そして、それらを楽しむ余裕のある心。があったのですね。
万葉集の歌に登場した七草。
美しい花、可憐な花、おなじみのススキ・・・
見て美しい植物を楽しむ、いい文化です。
その美しさから、絵画にも多く登場し季節を表現する役割も。
花屋で手に入れたり、自生したものを集めても良いでしょう。
イベントがあれば参加したり、七草の絵画を鑑賞しても。
どんな方法でも構いません。
「春の七草」と違い、食べるものではありません。
だからこそ、色んな楽しみ方ができるメリットがあります。
ぜひこの機会に、「秋の七草」をゆっくりと楽しんで頂ければと思います。
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