中南米原産のプルメリア。
東南アジアやハワイなどにも自生する熱帯性の花木です。
可愛らしい花から漂う甘い香りは、ジャスミン系の香りで女性に大人気。
ハワイではハイビスカスと並んで花飾りのレイとしてよく使われています。
お花の名前は聞いたことがなくても、
見れば「ああこれね!」と分かる方も多いはず!
また、東南アジアの国ラオスではプルメリアは国花。
仏様への献花やお正月によく用いられ、とてもポピュラーな花です。
公園や街路樹としてよく植えられ、成長すると7~8mにまで成長。
最近では鉢植えで管理できる2m前後の高さの矮性種も登場し、自宅でも育てやすくなりました。
そんなプルメリアは、暑さには強いものの寒さには弱い花木。
日本での栽培は、ちょっとしたコツを押さえておく必要があります。
栽培のポイントを押さえたら、ぜひ、信頼のおける園芸店で購入して育ててみませんか?
花から漂う甘い香りがあなたを癒してくれること間違いなしです。
Contents
プルメリアの育て方~基本編~
熱帯地域原産のプルメリア。
プルメリアは気温さえあれば、1年を通じて開花する習性があります。
ただ寒さには弱いため、四季のある日本では開花時期は7月~9月頃まで。
暖かいというよりも結構暑い時期に咲くんですよ!
自生している地域では庭や公園によく植えられ、樹高は7~8mにもなります。
ところが最近、鉢植えで育てられる矮性種(わいせいしゅ)も登場し、自宅で手軽に楽しむことができるようになりました。
成長が早く、いかにも南国の雰囲気漂う愛らしいプルメリア。
その花のカラーは豊富。
基本色のクリーム色から、ピンク・赤・黄色・複色などがあります。
花から漂う甘く癒される香りは、香水などの芳香製品にも使われているんですよ~。
ところで熱帯原産だと、日光が大好きなイメージがありますよね。
プルメリアは日本の真夏でも直射日光があたる戸外で大丈夫なのでしょうか?
プルメリアはどんな日当たりが好き?
プルメリアは日光に当てることがとにかく大切。
日光不足になると、間延びして花芽が付かなくなってきます。
花芽を付けるためにも、春から秋にかけては、戸外の風通しのいい日なたでしっかり日に当てましょう。
ただし、乾燥した風があたる室外機の近くには置かない事。
これはプルメリアだけではなく、どんな植物でも乾燥した風は苦手です。
乾燥した風にさらされると植物は傷んでしまいます。
置き場所には注意しましょう。
また、日光が大好きなプルメリアでも、日本のジメジメとした高温多湿の夏はちょっと苦手。
真夏は風通しのいい半日陰で管理してあげる方がいいでしょう。
私たちもそうですが、やっぱりカラッとした厚さのほうが過ごしやすいですもんね!
さて、少しずつ気温が下がりはじめる秋。
気温が15℃を下回ってくる10月過ぎ頃には室内に取り入れ、冬越しをします。
日によく当てるとなると、土の乾燥も激しくなりそう…。
土の表面が乾いたらたっぷり与える。
この基本の水やりで本当に大丈夫?
プルメリアの水やり頻度は?
実は乾燥にはとても強いプルメリア。
プルメリアを枯らしてしまう原因のひとつに水のやりすぎがあります。
地植えでは降雨のみで十分ですが、鉢植えの場合は少々コツが要ります。
そもそも、太い枝に水分を少々蓄えているため、乾燥に耐える力をはじめから持っています。
春から秋にかけては、土の表面がしっかり乾いているかを確認できたら、たっぷり与えましょう。
その際、水受け皿にたまった水は捨てることに注意していくださいね。
真夏は乾燥が激しくなりますので、春や秋より水やりの頻度も多くなるかもしれません。
ただし、あくまで土の状態を見てから与えてください。
冬は水やりの回数を減らします。
徐々に寒くなり、気温15℃を下回った段階で、与えても月に1~2回程度の水やりにとどめましょう。
こんなに少なくていいの?
と思うかもしれませんが、冬場はそのくらいがむしろちょうどいいんですよ!
真冬になると落葉し、プルメリアは休眠状態に。
その時点で水やりは一切しません。
というのは、もともと乾燥に強いうえに、水やりをしないことで花芽が付きやすくなるからです。
なので、葉が落ちたら水やりはストップ!!
と覚えておいてくださいね。
そして水やりの再開は、新芽が展開してから。
2月頃に新芽が見えたら、徐々に控えめに水やりをします。
もちろんこの時点でも、あくまでも土の状態を観察してから与えましょう。
乾燥に強いプルメリア。
街路樹になるくらいだったら、肥料もそんなに必要なさそう…。
でも楽しみにしていた花が咲かないなんてことになったら大変…。
肥料ってどのくらい必要なのでしょうか?
肥料はどのくらいをどんな間隔で?
先ほどプルメリアを枯らしてしまう原因をひとつお伝えしました。
それは「水の与え過ぎ」
もうひとつの原因は肥料の与え過ぎです。
プルメリアは肥料が多すぎるとかえって弱ってしまいます。
花を咲かせるためにどんどん肥料を与えればいいわけではありません。
かといって全く与えなければ成長せず花も付きません。
それでは、具体的な肥料の与え方を見ていきましょう。
植え付け時は、葉の成長を促す窒素分と根の成長を促すカリ分を含んだ肥料を元肥(もとごえ)として施します。
その後は、だいたい2カ月に1回程度の置き肥をします。
というのも、プルメリアは樹高1m以上に成長しないと花が咲きません。
1mを超える程度に成長してきた段階で花付きを良くするリン酸分を含んだ肥料を与えます。
この場合も、2カ月に1回程度の置き肥をします。
与える時期は春から秋。
冬は休眠状態なので、いっさい与える必要はありません。
新芽が展開してきた段階で、置き肥を再開させましょう。
水やりや肥料の与え方について理解できましたか?
次に気になるのが、プルメリアの成長についてです。
順調に育てば成長が早いプルメリア。
どんどん大きくなってしまったらどうしたらいいのでしょうか?
プルメリアを枝分かれさせないで高くする方法は?
プルメリアは数年もすれば、あっという間に大きくなります。
さらに、成長とともに花が咲いた場所から必ず2本~4本程度の新たな枝が生え、枝分かれします。
枝分かれを繰り返しどんどん成長するとおこってくるさまざまな問題。
バランスが取りづらくなり鉢が倒れそうになる。
大きくなりすぎて植替えが大変になったりする。
もしくは、花が咲かずにそのまままっすぐに伸びて間延びしてしまう場合もあり得ます。
そうならないために必要な作業が「剪定(せんてい)」です。
プルメリアを剪定し、大きさをコントロールしましょう。
でも切ってしまった枝がもったいない!
そこは心配ご無用!!
剪定した枝はさし木にすると比較的簡単に根付くんですよ。
親株が剪定してもどうにも大きくなって管理できなくなった場合、さし木の株で育て直すこともできますよ。
同じプルメリアの子孫をずーっと育てることも可能というわけです!
なんだか、ずーっと継ぎ足されている秘伝のタレみたいですね。
プルメリアの剪定は1年中可能。
ただ、春から秋の成長期に剪定すると、剪定した枝をさし木にできます。
なので剪定はこの時期がおすすめです。
ただし、切りすぎてしまうと新芽が伸び枝が充実するまで開花しません。
剪定は枝が伸びすぎる前にこまめにするのをおススメします。
また、剪定で注意したいのが、プルメリアの毒についてです。
ちょっとドキっとしちゃいますよね。
プルメリアを剪定すると枝から出てくる白い樹液。
この樹液には毒があり、触ると皮膚炎、口に入れてしまうと嘔吐などを引き起こすことも…。
なので作業の際は、必ず軍手などを着用してください。
剪定の道具は、ノコギリやナイフを使用しましょう。
また、剪定した切り口には、殺菌消毒剤トップジンMペーストを塗っておきます。
これを塗ることで病原菌の侵入を防ぎ、剪定で受けた傷の回復を早めてくれますよ。
これですね。
剪定の際は大きく育ちすぎた場合、株元から30㎝程度のところで剪定します。
切り口から新芽が出て、新たな枝がニョキニョキでてきますよ。
枝分かれした場合は、分枝したところから5~10㎝程度離して剪定します。
残した枝から新芽が出ます。
新芽が出るのは、剪定してから約2カ後になります。
このようにし剪定して枝や樹高をコントロールしましょう。
寒さに弱いプルメリア。
日本の冬の寒さを乗り越えるためにはどうしたらいいのでしょうか?
【おすすめ記事はこちら】
プルメリアを室内で冬越しさせるには?
プルメリアを育てる上で一番大事なことは冬越しです。
春から10月過ぎまでは戸外の日当たりのいい場所で育てますが、冬の間は室内で管理します。
目安として気温が15℃を下回ってきたら、室内に取り入れましょう。
室内ではなるべく日当たりのいい、最低5℃以上は保てる場所で育てます。
できれば最低10℃以上の気温が理想です。
ただし、室内でも暖房の風が当たるような場所は避けましょう。
冬は日差しが少ない時でも、できるだけ日が当たる場所を確保します。
また、プルメリアは真冬には葉を落とします。
葉が落ちない場合もありますが、すべて葉が落ちても休眠状態に入っているため心配いりません。
また来年、きれいな花を咲かせてくれますよ!
4月以降、外の気温が20℃前後になったら戸外に出してあげましょう。
無事に冬越しができても、心配事は他にもあります。
それはいったい何でしょう?
実は、プルメリアには付きやすい害虫があるようです。
どんな予防法・駆除法があるのか理解しておきたいですよね。
プルメリアを育てるときに注意しておきたい2大害虫
プルメリアを育てる上で知っておきたいのが害虫です。
特にハダニとアブラムシには注意しましょう。
プルメリア自体は丈夫なため、害虫が発生しても冷静に対処することで乗り越えることができますよ。
それでは、それぞれの害虫についての特徴や予防・駆除について見ていきましょう。
ハダニ
ハダニは乾燥していると発生しやすい害虫です。
薬剤を使う手もありますが、耐性が付きやすいのが困りもの。
薬剤の効果がだんだん薄れてきてしまいます。
ただ、ハダニは水に非常に弱い性質があります。
まず、日ごろから葉を葉裏も含めて良く観察しながら、ハダニの早期発見を心がけましょう。
その上で、葉水を与えると大変効果的です。
葉水は葉裏にも忘れずにかけます。
こうして乾燥を防ぎながら、ハダニを洗い流すことが簡単で効果的な予防・駆除方法になります。
詳しくはこちらをご確認ください。
そして、もうひとつの害虫、アブラムシ。
びっしりと付いていると駆除に手こずりますよね。
薬剤を使ってもいいのでしょうか?
アブラムシ
アブラムシも少ないうちは捕殺することで対処可能です。
ただ、あっという間にびっしりと蜜に付くと捕殺だけでは追いつきません。
そういった場合、アブラムシは薬剤が良く効くため、薬剤使用をおすすめします。
オルトランスプレーを使用して駆除に努めましょう。
予防としては、日光にしっかり当てること。
もちろん、それだけでしっかり予防できるといったことではありません。
ただ、日光に当てることで体を強くし、抵抗力を付けることで害虫に侵されにくくなります。
アブラムシについてはこちらも参考にしてみてくださいね。
それでは、南国ムードたっぷりのプルメリアを元気に育てる方法をまとめてみました。
プルメリアを何年も元気に育てる方法~まとめ~
熱帯原産で、暑さや乾燥に強い反面、寒さに弱いプルメリア。
そんなプルメリアの育て方のコツを分かりやすくまとめてみました。
日当たり
プルメリアは日光が大好き。
冬以外は、戸外の日当たりのいい場所で育てる。
水やり
乾燥に強いため、水やりは土の表面が完全に乾燥してからたっぷり与える。
寒くなるにつれ水やりを徐々に控え、真冬は断水する。
肥料
元肥は、葉の成長を促す窒素と根の成長を促すカリを含んだ肥料を与える。
その後は、2カ月に1回程度の置き肥。
花が付きやすくなる1m程度に育ってきたら、花付きを良くするリン酸を含んだ肥料を与える。
その後も2カ月に1回程度の置き肥。
冬は休眠期のため肥料は不必要。
剪定
花が咲くと、そこから必ず枝分かれする。
大きくしたくない場合は、株元から30㎝以上のところで剪定。
枝分かれを防ぐ場合は、分枝したところから5~10㎝程度離して剪定。
剪定後2カ月前後には新芽が出る。
切り口から出る白い樹液には毒があるため気を付ける。
冬越し
気温が15℃を下回る10月過ぎに室内に取り入れる。
室内でも最低5℃以上には保ち、日当たりのいい場所で育てる。
真冬は葉がすべて落ちるが心配ない。
気温が20℃前後になる4月以降に戸外に出す。
長く育てて、いつもそばに置いておきたいプルメリア。
50㎝前後の樹高でも花芽が付くタイプの矮性種も出てきました。
これなら自宅で気軽に育てることができますよね。
愛らしい花と甘い香りは、あなたの心と体をやさしく癒してくれること、間違いなし!
さっそくプルメリアを育ててみませんか?
【関連記事はこちら】